クラウドAI動画サービスのコンテンツ制限・高コスト・プライバシーリスクに悩んでいませんか?本記事では、これら3つの問題を一気に解決するローカル動画AIモデル「Sulphur2」の導入方法を、ComfyUIのセットアップから実際の生成まで完全ガイドします。
VRAM 8GBのNvidia GPUがあれば、月0円・サブスク不要で動画AIを自分のPCだけで動かすことができます。
クラウドAI動画の3つの壁とローカルAIという選択肢

コンテンツフィルター・コスト・プライバシーの問題
クラウド型AI動画サービスを使っていると、次の3つの壁にぶつかることがあります。
① コンテンツフィルター:プロンプトを入力しても「ポリシー違反」として弾かれるケースが多く、表現の自由度に制限があります。
② 費用:有名サービスでは1本の動画生成に数十〜数百円かかることがあり、量産目的だと月々のコストがかさみます。
③ プライバシーリスク:クラウドに送ったデータが学習に使われる可能性があるため、企業秘密や個人情報が含まれるコンテンツは扱いにくいです。

ローカルAI(LTX Video)がこれらを解決する
こうした問題を根本から解決するのが、ローカルで動かすオープンソースモデルの活用です。特に注目を集めているのが「LTX Video」(Lightricks社開発)。オープンソースで公開されており、家庭用GPU(VRAM 8GB〜)で動作する軽量設計が特徴です。
LTX Videoの最新安定版はバージョン2.3(LTX 2.3)。そしてこのLTX 2.3をベースに強力なファインチューニングを施したのが、今回紹介するSulphur2です。

Sulphur2とは? 9Bモデル・125,000本学習の実写特化AI

2つの大きな特徴
Sulphur2(サルファー2)は以下の2つを大きな特徴とするローカル動画AIモデルです。
① 非検閲(コンテンツフィルターなし):モデル自体にコンテンツフィルターが組み込まれていないため、クラウドサービスでは生成できなかった映像も生成できます。ただし、「非検閲 = 法律の免除」ではありません。著作権・肖像権・わいせつ物頒布等の日本の法律は引き続き適用されますので、利用上の注意は必ずお守りください。
② 実写系映像に強い:約12万5,000本・500GBの動画データで追加学習しており、人物・風景・プロダクト系の実写映像のクオリティがベースモデルより大幅に向上しています。
Sulphur2のスペック一覧

| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ベースモデル | LTX Video 2.3 |
| パラメーター数 | 9B(90億) |
| 学習データ | 約125,000本・500GB |
| モデルサイズ | bf16 約46GB / FP8 約29GB |
| リリース | 2026年5月 |
| 配布 | Hugging Face / SulphurAI(無料) |
4種類の公式ワークフロー

Sulphur2には4種類の公式ワークフローが用意されています。
- t2v base(テキスト→動画・標準)
- t2v distilled(テキスト→動画・高速)
- i2v base(画像→動画・標準)
- i2v distilled(画像→動画・高速)
初めて試す場合は「Image to Video Base(i2v base)」がおすすめです。画像をスタート地点にできるため、イメージに近い映像を生成しやすいです。
導入前の準備:動作環境とダウンロードするファイル

動作環境
| 項目 | 要件 |
|---|---|
| GPU | Nvidia製(必須) |
| VRAM(最小) | 8GB(RTX 3070等) |
| VRAM(推奨) | 10GB以上 |
| OS | Windows / Linux |
| 前提ソフト | ComfyUI(インストール済み) |
VRAMが8〜12GBの場合はFP8版を選択してください。FP8は数値精度を8bitに落とした軽量フォーマットで、画質への影響はわずかです。VRAM 13GB以上ある場合はbf16版でも動きますが、一般ユーザーにはFP8版で十分です。
ダウンロードするファイル


Hugging FaceのSulphurAI・関連ページから以下のファイルをダウンロードし、ComfyUIの正しいフォルダに配置します。
| ファイル名 | 配置フォルダ |
|---|---|
sulphur_dev_fp8mixed.safetensors | ComfyUI/models/checkpoints/ |
gemma_3_12B_it_fp4_mixed.safetensors | ComfyUI/models/LLM/ |
ltx-2.3-22b-distilled-lora-1.1_fro90_ceil72_condsafe.safetensors | ComfyUI/models/loras/ |
ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.1.safetensors | アップスケーラー用フォルダ |
taeltx2_3.safetensors | ComfyUI/models/vae/ |
ComfyUIは作業前に必ずバックアップしてからアップデートしておきましょう。
ComfyUIへの導入手順:ワークフローの修正箇所を完全解説

STEP 1:ワークフローJSONをComfyUIに読み込む
HuggingFaceからワークフロー(ltx23_t2v base.json)をダウンロードし、ComfyUIにドラッグ&ドロップします。最初はエラーが表示されますが、すべて解消できるので焦らず進めてください。
STEP 2:Missing Custom Nodesをインストール
ComfyUI Managerを開き、「Install Missing Custom Nodes」を実行します。インストール後にComfyUIを再起動すると、カスタムノード関連のエラーが解消されます。
STEP 3:ワークフローの各ノードを修正する

モデルファイルを配置した後、ワークフロー内の各ノードを修正します。修正箇所の一覧は以下の通りです。
| ノード | 変更箇所 | 設定値 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Node 44 | Checkpoint | sulphur_dev_fp8mixed.safetensors | モデル本体 |
| Node 4 | Audio VAE | sulphur_dev_fp8mixed.safetensors | |
| Node 5 | text_encoder | LLM\gemma_3_12B_it_fp4_mixed.safetensors | LLMモデル |
| Node 5 | ckpt_name | sulphur_dev_fp8mixed.safetensors | |
| Node 46・60 | LoRA | sulphur_final.safetensors | バイパス(非公開ファイル参照のため) |
| Node 49 | Distill LoRA | ltx-2.3-22b-distilled-lora-1.1_fro90_ceil72_condsafe.safetensors | 有効 |
| Node 39 | Latent Upscaler | ltx-2.3-spatial-upscaler-x2-1.1.safetensors | v1.0→v1.1(重要) |
| Node 63 | VAE | taeltx2_3.safetensors |
Node 39(アップスケーラー)のv1.1化は特に重要です。v1.0のままにしておくとノイズが発生する主な原因になります。
Node 46・60のLoRAについて:これらは配布されていないファイル(sulphur_final.safetensors)を参照しているためバイパスします。LoRAの機能はSulphur2本体に内蔵済みなので品質への影響はありません。
修正が完了したら、テキストプロンプトを入力して生成を開始してください。RTX 3080環境で小さいサイズなら3〜5分程度で完了します。大きいサイズでは倍以上かかる場合があります。最初は小さいサイズから試しましょう。
生成品質の比較とGGUF版の活用

Sulphur2 vs LTX 2.3 ジャンル別比較
当たり障りのないプロンプトではLTX 2.3と大差ありませんが、実写系の映像を動かした場合にSulphur2の方が明らかに完成度が高くなります。
| ジャンル | おすすめモデル |
|---|---|
| 実写系動画(人物・風景等) | Sulphur2が優位 |
| アニメ・イラスト系 | LTX 2.3が優位 |
| キャラクター・顔保持重視 | 10Erosが優位 |
また、LTX 2.3にLoRAを追加した場合と比べても、Sulphur2のファインチューニングの方が上回るケースが多いです。専用データで徹底的にトレーニングした強みが出ています。
VRAMが少ない場合:GGUF版の活用

Sulphur2にはGGUF版(超軽量量子化フォーマット)も公開されています。FP8版では動かない環境でも以下の選択肢があります。
| GGUF版 | ファイルサイズ目安 | 対応VRAM |
|---|---|---|
| Q3_K_S(最小) | 約10GB | VRAM 8GB |
| Q5_K_M(バランス) | 約16GB | VRAM 12GB |
| Q8_0(最高品質) | 約23GB | VRAM 16GB |
FP8版を使える環境ではFP8を優先しましょう。GGUF版は生成速度が上がる場合もありますが、品質面ではFP8の方が安定しています。
派生モデル「10Eros」と法的注意事項

10Erosとは? 顔保持特化のLTX 2.3派生モデル
Sulphur2と同じLTX 2.3ベースの派生モデル「10Eros」(TenStripというクリエイター作)も紹介します。

10Erosは顔の保持とキャラクターの一貫性に特化しています。同じ画像から動かした時の顔の安定感はSulphur2やLTX 2.3を上回ります。
一方、動きの自然さはSulphur2の方がやや上。10Erosはスローモーション感のある動きになる傾向があります。顔を安定させたい場合は10Eros、自然な動きを優先する場合はSulphur2と使い分けると良いでしょう。
導入は簡単です:Sulphur2のワークフローのモデルファイルを10Erosに差し替えるだけで動きます。Sulphur2が動く環境であればそのまま試せます。10ErosにもGGUF版(Q3〜Q8)があります。
利用上の注意(法的事項)

これらのモデルを使う際に必ず守るべき注意事項があります。
- 非検閲 ≠ 法律の免除:著作権・肖像権は必ず遵守する
- わいせつ物頒布等は日本の法律が適用される
- SNSへの公開は各プラットフォームの規約に従う
- 個人利用の範囲を守ること
まとめ

Sulphur2とComfyUIを使ったローカル動画AI生成の要点をまとめます。
- Sulphur2はLTX 2.3ベースの非検閲ローカルモデル。実写系映像に強く、FP8版ならVRAM 8GBで動く
- ワークフローは複数ノードを修正。Checkpoint・VAE・LLM(Node 44・4・5)、LoRAバイパス(Node 46・60)、Distill LoRA(Node 49)、アップスケーラーv1.1(Node 39)、VAE(Node 63)
- 派生モデル10Erosは顔保持に特化。Sulphur2のモデルを差し替えるだけで試せる
VRAMが少なくてGGUF版を使う場合もQ3〜Q8から選べるため、多くの環境で動かせるのが強みです。ローカル動画生成はまだまだ進化中。まずは試してみてください!
よくある質問(FAQ)
Q: MacのGPUでは動きませんか?
A: Sulphur2はNvidia GPU専用です。Mac(Apple Silicon / AMD GPU)では現時点では動作しません。
Q: ComfyUIのインストール方法はどこで確認できますか?
A: ComfyUIの公式GitHubページ(github.com/comfyanonymous/ComfyUI)にインストール手順があります。本動画ではComfyUIがインストール済みであることを前提としています。
Q: LoRAノード(Node 46・60)をバイパスすると品質が落ちませんか?
A: 落ちません。これらのノードは非公開のsulphur_final.safetensorsを参照しているためバイパスしますが、その機能はすでにSulphur2本体に内蔵されています。有効なDistill LoRA(Node 49)は別途正しいファイルを設定してください。
Q: テキスト→動画(t2v)と画像→動画(i2v)はどちらがおすすめですか?
A: 初めてであれば画像→動画(i2v base)がおすすめです。スタート画像を指定できるため、意図した映像に近づけやすいです。テキストのみ(t2v)の方が得意という特性も報告されているので、両方試してみてください。
Q: 生成した動画の品質に満足できない場合は?
A: ワークフローのJSONファイルをエクスポートして、AIツール(Claude Code等)に「ノイズの原因を調べて」と聞いてみてください。設定の問題箇所を的確に教えてもらえます。
関連リンク
- ComfyUI(公式GitHub): https://github.com/comfyanonymous/ComfyUI
- Sulphur2モデル: Hugging Face / SulphurAI
- 10Erosモデル: Hugging Face / TenStrip
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